金策冒険家エイジのblog

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滅亡寸前の男性 - NHKスペシャル「女と男(3) 」を観て(1)

Tuesday, 27, 2009 at 18:13
NHKスペシャル「女と男(3) 男が消える? 人類も消える?」を観た。
この「女と男」シリーズは全3回。
第1回の「惹(ひ)かれあう二人 すれ違う二人」は記録しておく必要性を感じ、詳しいレビューを書いた。

男


この第3回の内容も興味深く、またショッキングでもあり、第1回同様のレビューを書くこととする。
なお第2回の「何が違う? なぜ違う?」はこの第3回のレビューを書き終えた時点で書くかどうか決める。


危機に瀕する男


遺伝子を包み込む容れ物染色体。
人間の染色体は46本。
母親と父親から受け継いだ2本が1セットになっている。

染色体
ヒトの染色体


男か女であるという証拠は性染色体を見ればわかる。
女性はXとX。
男性はXとY。
X染色体に比べ、Y染色体はかなり小さい。

Y染色体は徐々に小さくなりつつあり、やがて消滅する可能性がある。
最近の研究を通して、Y染色体は早ければすぐに、遅くとも500万年後には消えると指摘する研究者も現れている。

さらに危機は男性の精子にも及んでいる。
質の劣化や濃度が低回しているという報告が相次いでいる。


危機に立つ男 Y染色体が消える


生命の秘密を解き明かしてきた科学が性のシステムの中に見つけたのは危機に瀕するY染色体という人類滅亡のカウントダウンだった。

オーストラリア国立大学教授のジェニファ・グレーブス博士。
原始的な哺乳類であるワラビーの研究などを通して性染色体の進化を研究している。

2002年、博士はY染色体が危機的状況にあることを初めて報告し、世界の注目を浴びた。
世界的に権威のある科学雑誌(『nature 2002年2月』)の中で『性の未来(The future of sex)』と題した記事を発表。
Y染色体が退化の途上にあること、そしてやがて滅亡するであろうという予測を書いた。

Y染色体が退化していることはX染色体と比較することでわかる。
大きさだけでなく持っている遺伝子の数も1098:7813倍も違う。

X染色体に比べY染色体はずっとずっと小さい。もともとはXもYも同じ大きさの染色体だったことがわかっています。ですからYだけがどんどん小さくなってきたことになります。そしてやがてある日、消えてしまうでしょう」と笑顔で語るグレーブス博士。


Y染色体の寿命は来週?


では、Y染色体はこの後どのくらいで消えてしまうのか?
グレーブス博士はその試算を行っている。

1億6,600万年前、Y染色体はまだ1,000以上の遺伝子を持っていた。
100個足らずとなった現在までにどのような減り方をしたのか?

博士は考えられる様々なケースを想定。
一定の割合で遺伝子が減ったケース。
突然変異などで遺伝子の数が急激に減ることも知られている。
そのことも考慮したケースも想定した。

こうしたシミュレーションをもとにY染色体は遅くとも500万年〜600万年で完全に消えるとグレーブス博士は考えている。

Y染色体が完全になくなるのは、500万年〜600万年後だと予想しましたが、実際にはこれよりももっと早くなる可能性は充分にあります。Y染色体には機能しない遺伝子が多くあり、不安定だからです。突然変異が起これば、世界のどこかで来週消えても不思議ではないのです」とグレーブス博士。


なぜ消える? Y染色体


Y染色体はなぜ他の染色体と違って退化の一途をたどっているのか?
その理由は、イギリスで行われているある調査を見ることでわかる。

スコットランド北西部スカイ島にあるアーマデール城。
およそ850年前、バイキングに支配されていたこの土地を奪い返した英雄サマーレッドの勢力拠点だった場所。
日本人にたとえるならば、蒙古襲来を防いだ北条時宗といったところか。

オックス・フォード大学の人類遺伝学者ブライアン・サイクス博士。
歴史上の人物のY染色体を追う遺伝子ハンター。

サイクス博士は歴史上の人物の子孫をさがしたり、その人物の子孫が何人いるのか研究を行っている。
その研究の決め手となるのがY染色体。
父から子へ、次の世代へその遺伝子を引き継ぐ際、Y染色体は他の染色体とは違う特別な伝わり方をする。

ここではX染色体を例に説明していく。
X染色体の場合、染色体2本が1セットになっているため、お互いの遺伝子を交換し、それぞれの特徴を少しずつ持った染色体として次の世代に引き継がれていく。
こうした仕組みのため、X染色体は母から子へ、世代を経るにつれ、次々変化し、その繋がりをたどるのは容易ではない。

これに対し、Y染色体は1本しかない。
このため単純なコピーがつくられ、父から息子へ、そのままの形で引き継がれていく。
この特徴を利用すれば、家系図をたどるようにY染色体がどれだけ広がったのか容易に追跡することができる。

バイキングを追い払った英雄サマーレッドの場合、調査の結果、現在50万人の子孫がいることがわかった。

歴史上の人物のY染色体は権力を誇った人ほど、現在多くの人に広まっていることがわかってきました。サマーレッドもまさにその1人です。ただ皮肉なことに、Y染色体そのものは、廃墟となったこの城のように崩壊の一途をたどっています」とサイクス博士。

サマーレッドの勢力拠点だったアーマデール城は現在、屋根も扉もなく、外壁だけになっている。


Y染色体が滅ぶのは自己修復できないから


Y染色体が崩壊の一途をたどる理由。
それはY染色体が子孫に伝わる仕組みそのものにある。

染色体が何千回、何万回と単純にコピーされていく間に、わずかなコピーのミスや突然変異が起きてしまう。
そうなると遺伝子は傷つき、機能を失ってしまう。

一方Y染色体以外の染色体は父親と母親それぞれから受け継いだ2本が1組になっている。
このため、たとえ片方にミスや変移があったとしても、もう片方の遺伝子を使うことで傷ついた染色体を修復することができる。

性染色体XとY
性染色体XとY


ところが、1本しかないY染色体の場合、一旦遺伝子が壊れてしまうと、こうした修復はできない。
そのためエラーや突然変異がたまり、ガラクタ状態になった部分からなくなっていったと考えられる。

染色体が2本あるか、1本しかないのか。

たったこれだけの違いが、Y染色体だけが滅びるというその宿命の源だった。


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だから、男と女はすれ違う―最新科学が解き明かす「性」の謎 NHKスペシャル 女と男 DVD-BOX NHKスペシャル 女と男 第3回 男が消える? 人類も消える? [DVD]




ここまでの感想


X染色体とY染色体。
大きさだけでなく持っている遺伝子の数が1098:7813倍も違う。
1億6,600万年前、Y染色体は1,000以上の遺伝子を持っていた。
現在はたった78個。
現代の男性は「かろうじて男性たり得ている」ということか。

グレーブス博士による「来週消えても不思議ではない」との指摘。
さすがに脅かしすぎ、という感じもしないでもないが、「今世紀中に消えても不思議でない」という指摘なら信じてしまいそうになる。

さて、このレビューを書く傍ら、「サマーレッド」を検索。アダムの呪い (ヴィレッジブックス)
そこでブライアン・サイクス博士の著作『アダムの呪い』(右画像)に突き当たる。
何件かレビューを読んだが、なかなか面白そうな本のようだ。
NHKスペシャルではさらっとサマーレッドのことを触れておしまいだったサイクス博士。
同著ではたっぷりY染色体とその命運について語っている。

[参考]



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