金策冒険家エイジのblog

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試験管ベビーがもたらした未来 - NHKスペシャル「女と男(3) 」を観て(5)

Wednesday, 04, 2009 at 17:32
Y染色体の衰退や精子の劣化などが心配される男性の危機。
その事実を知ってしまった私たちには、どんな選択肢があるのか?

試験管


2008年7月、イギリスヨークシャーで一人の女性の誕生日が華やかに祝われた。
ルイーズ・ブラウンさん。
この人こそ世界で初めて、体外受精で生まれた人物。
JUGEMテーマ:NHK


世界初の試験管ベビー誕生から30年


この技術(体外受精)は多くの人を救いました。私が生まれていなかったら多くの子供が生まれていなかったと考えるといい気分です」とインタビューに答えるルイーズさん。

画面にルイーズさんが生まれたことを知らせる1978年当時の新聞記事が映し出される。
Evening News紙の1面トップ記事。
紙面の半分以上のスペースに生まれたばかりのルイーズさんの白黒写真。
記事タイトルは「Meet Louise,the world's first test-tude arrival SUPER BABE」。
SUPER BABE」は紙面を左から右まで横断する程の巨大フォント。
そのすぐ下に「世界初の試験管ベビー」のテロップ。


旧来の体外受精と顕微授精


ルイーズさんの誕生によって、人間はテクノロジーを使って子孫を残すという新しい選択肢を手に入れた。

ルイーズさんを誕生させた体外受精は母親から取り出した卵子を父親の精子をシャーレで受精させたもの。
1個の卵子に複数の精子が群がるという子宮の中の状態を人工的に作り上げるものだった。

顕微鏡
画像は顕微授精と関係ありません


ところが1992年には、こうした自然に近い状態とは一線を画す技術が誕生。
精子の運動能力がない男性でも受精できるという画期的なものだった。
選び出した精子をスポイト状になった特殊な針を使って卵子の中に注入し、受精させる顕微授精。
たった1個の精子さえあれば子供を作れるようになった。

それまで父親になれなかった大勢の人たちがこの技術によって我が子を抱くことができるようになりました。これは人類にとって革命的な出来事だったと自負しています。世界中で毎日何千という赤ちゃんが、この技術で誕生しています。その数が増え続けることは間違いありません」と語るのは、顕微授精開発者ブリュッセル自由大学教授ポール・デブロイ博士。


生殖技術依存国家デンマークの現実


年々高度になる生殖技術。
ところが、それは精子の質の劣化を加速しかねない一面を持っている。
人間の精子を研究しているエイトキン博士は、こうした技術に頼ることが人類の未来に与える影響を指摘している。

たった1つの精子を人為的に選ぶ顕微授精では、精子の競争圧力がまったくかかりません。こういうことを繰り返した場合、精子の質の劣化は避けられなくなります。一度生殖技術に頼るようになると、次の世代には、それがもっと必要になるのは自明の理です」とエイトキン博士。


すでに、人口を維持するために生殖技術が不可欠になっている国がある。
それは精子の質の低下が懸念されているデンマーク。
国立病院が調査したところ、1980年から2000年の間に20歳を迎えた女性が一生の間に生む赤ちゃんの数はほぼ横ばいを維持していた。

ところが、自然な妊娠の数に限ってみれば、減り続けていた。
つまり、生殖医療を使った出産の数が増えているおかげで出生率の低下が食い止められている。

生殖医療がなければデンマークの出生率は下がっていたはずです。しかも、不妊の主な理由は男性の精子の質にあります。デンマークでは今や新生児の14人に1人は生殖技術を利用して生まれています。顕微授精に頼る傾向は今後も高まることは避けられないと考えています」とデンマーク国立病院医師ニールス・ヤーゲンセン博士。


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ここまでの感想


2000年現在、デンマークでは14人に1人が生殖技術を利用して生まれている。
これは新生児全体の7.14%を占める。
急激な速度で劣化しつつある精子の現況を考えれば、今後これまで以上に増加していくに違いない。
14人に1人だったのが10人に1人になり、5人に1人……、やがて2人に1人になるときが来る。
早ければあと数年後、遅くとも今世紀中に。

シャーレの中で受精させる旧来の体外受精で生まれた男性の場合はまだ可能性を見出せるにしても、すでに卵子の壁すら突き破れないほど劣化した精子を、針で強制的に卵子に注入して受精させる顕微授精で生まれた男性の場合はもう、自然な方法での妊娠は期待できない。

どちらの方法であるにせよ、生殖医療技術によって生まれた人間のほとんどは、親同様生殖医療技術に頼って子供を授かることになると予想される。
これはつまり、先天的に生殖能力のない男性の割合が着実に増加していくことを意味している。

そして、世代を経る毎に、その割合は増していく。

生殖能力が年々衰えていく男性と生殖能力が生まれつきない男性が、子孫を残していくには生殖医療技術にすがるしかない。
その結果、自然な方法での妊娠は2人1人になり、5人1人になり、やがて10人に1人のマイノリティーになっていくだろう。

それが今世紀中なのか、22世紀になってからなのかわからないが、22世紀にもなっていれば当然人工子宮ぐらい発明されているだろうから、その頃の女性は妊娠することなく子供を授かるようになっているかもしれない。
きっとそのときは新聞の一面に、「人類初の人工子宮ベビー誕生」と大きく報道されていることだろう(その時代に新聞がまだあれば)。

そしてその30年後、30歳になった人類初の人工子宮ベビーはインタビューで、「この技術(人工子宮)は多くの女性を救いました。私が多くの女性を妊娠の苦しみから解放したと考えるといい気分です」と答えているかもしれない。

あるいはタイムマシンを発明して、まだ男性の精子が元気だった頃の時代にタイムスリップ。
そこで優良な精子を採取して、それをもとに遺伝子組み換えした精子をつくり出し、新たな人類を創造することでこの危機を回避するのだろうか。

ふと思ったが、100年後の人がこのブログ記事を読んだら、一体どんな感想を抱くのだろう?

次は生殖技術に対する是非と生殖技術がもたらした新しい形の家族について。


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コメント
たまたま 通りかかりのものですが、

2人に1人になった時点で生物としては終着点かと・・・(w

それも、ゆるやかに滅びる場合のことですが。

地球上で爆発的に増えた種は、忽然と姿を消すことが稀ではないようなので、それを考えれば驚くことはないと思います。
人類の繁栄がいつまでも続くことを前提に考えていると、大事なものを見落としてしまう気がしております。

(==) さん | Friday, 06, 2009 at 00:19
>2人に1人になった時点で生物としては終着点かと・・・(w

数百年後、人類が存続していたとして、21世紀はテクノロジーによって誕生した人類と自然な方法で誕生した人類とが共存していた時代として理解されるんでしょうね。


>人類の繁栄がいつまでも続くことを前提に考えていると、大事なものを見落としてしまう気がしております。

確かにそうですね。
人の多くは、失ってからそれが大事と気付く動物のようですから、多くの人は死後、そのことを知るのかもしれません。
エイジ さん | Friday, 06, 2009 at 10:57
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